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気の合う相方は、似た者同士じゃない

気の合う相方は、似た者同士じゃない

二人で喋っているだけなのに、なぜか会話がポンポン転がっていく相手っていませんか。こっちが投げた話を一回ふくらませて返してくれて、その返しにまたこっちが乗っかって、気づけば二人とも笑っている。打ち合わせなんてしていないのに、まるで役割分担ができているみたいに噛み合う。

逆に、好きなものも笑いのツボもそっくりなのに、なぜか二人だと盛り上がりきらない相手もいます。趣味は合う、話も通じる、なのに会話が一段上がらない。むしろ三人目が来た瞬間にやっと場が動き出したりする。あの感じ、心当たりがある人はけっこういるんじゃないでしょうか。

僕も昔は、気の合う相方って似た者同士のことだと思っていました。それが怪しいなと感じたのは、自分とよく似た知り合いと二人で飲んだ夜のことなんですよね。お笑いの趣味は完全に一致しているのに、会話がどうにも噛み合わない。二人とも喋りたがりで、相手の話を受ける前に自分の話を被せてしまって、どっちの話もちゃんと落ちない。ところが別の友達が一人加わった瞬間、急に二人とも喋りやすくなった。あの体験から、相方の相性って似ているかどうかじゃないんだなと、診断の4軸を眺めながらだんだん腑に落ちていったんです。

笑いはリレーで成立する

そもそも笑いって、一人で完結しないことが多いんです。誰かが言葉を発信して、誰かがそれを受けて成立させる。この往復があって、はじめて場に笑いが着地する。

ここで診断の「ボケ(B)/ツッコミ(T)」軸が効いてきます。Bは話を立ち上げて場に投げる発信の役割、Tはそれを受けて、整えたり跳ね返したりして成立させる反応の役割。役割が分かれているからこそ、ボールが宙に浮かずに済む。発信した言葉を誰かが受け止めてくれるから、次のボールを投げられる。

オールラウンド司令塔(TACV)みたいに、相手の話を一回ちゃんと聞いてから全体を見て返してくる人の前だと、ボケ寄りの人はどんどん投げやすくなります。投げれば必ず返ってくるとわかっているから、思いきって変なボールも投げられる。逆に受け手がいないと、どんなにいいボケも一回宙に浮いて、自分で拾い直すしかなくなる。あの自分でツッコんで自分でオチをつける感じ、嫌いじゃないけど、ちょっと寂しいんですよね。

同じ強みが二人いると、渋滞する

ではボケ同士が組むとどうなるか。これが、意外と転がらない。

二人とも発信したいタイプだと、お互いの話に乗っかる前に次の自分の話を投げたくなる。相手のボケを受けて広げるより、それを踏み台にして自分のボケを被せにいってしまう。結果、二本のボールが同時に宙に浮いて、どちらも着地しない。盛り上がっているように見えて、よく聞くと二人とも自分の話しかしていない、みたいな状態です。あの空回り、味わったことのある人もいるんじゃないでしょうか。

これは勢いの強いパワー(P)系同士でも起きます。フルスロットル暴れん坊(BAPV)が二人いる飲み会を想像してみてください。最初の数分はめちゃくちゃ楽しい。声も大きいし、テンションだけでその場が動く。でもずっと全員フルスロットルだと、誰も場を受け止める人がいなくて、熱が空気に吸われて空回りしていく。アクセルが二つあってブレーキがない車みたいなものです。こういうパワー系には、声を張らずに文脈で刺すクレバー(C)寄りの相手がいると、勢いを一回受け止めて落としどころを作ってもらえる。

軸が同じだと渋滞するという話は、手数(V)と厳選(S)でも同じ構図になります。ただそこは別の回でじっくり書いたので、ここでは深追いしません。代わりに見ておきたいのが、これまであまり触れてこなかった「いじり(A)/いじられ(R)」の組み合わせです。

いじりといじられは、いちばんわかりやすい凸凹

いじる側といじられる側というのは、4軸のなかでいちばん役割がくっきり分かれる関係かもしれません。

いじり(A)寄りの人は、相手のどこを触れば笑いになるかを見つけるのが得意。いじられ(R)寄りの人は、触られたときの反応で場をふわっと和ませるのが得意。この二つが揃うと、片方が差し出した話題のとっかかりを、もう片方が拾って一気に温度を上げてくれる。スナイパー毒舌家(TACS)のように鋭く射抜く人の隣に、ハイテンション愛され王(BRPV)みたいに刺された反応そのものを勢いに変える人がいると、いじりが攻撃じゃなく愛として成立する。

逆に、いじられるのが好きな人同士が並ぶと、お互いに差し出す気満々なのに、誰も最初に触ってくれない。場がほんのり優しいまま、決定的なところまで上がりきらない。いじる役と受ける役、どちらかが欠けると噛み合わないんですよね。だからここでも、凸凹のほうが転がる。

噛み合うのは、足りないところを埋め合える相手

こうして並べてみると、相性のいい相方って、強みが同じ人じゃなくて、軸が補い合える人なんですよね。

発信が得意なら、受けて成立させてくれる人。勢いで押すなら、一歩引いて構成を整えてくれる人。いじりたいなら、気持ちよく受けてくれる人。自分が前に出る分、相手が場を受け止めてくれる。役割が分かれているから、お互いが安心して自分の強みに全振りできる。

診断にも、この考え方をそのまま入れています。たとえば暴れん坊(BAPV)のように勢いで押し切る人には、ツッコミ寄りで文脈を整えるのが得意なミステリアス賢者(TRCS)あたりが向いていたりする。片方が暴れて、片方がその暴れを冷静に交通整理してくれるから、二人でいると一人のときの何倍も大きい笑いになる。マイペース仙人(BRCS)のように、表情を変えずにポツリと落とす人の隣に、その小さなつぶやきをすかさず拾うカウンター切り返し師(TRCV)がいると、聞き流されかねない一言がちゃんと笑いとして拾い上げられる。

似た者同士が悪いわけじゃありません。価値観が合う安心感は、また別の話。でも会話を転がす相方という意味でいうと、自分にないものを持っている相手のほうが、ボールはよく回るんです。だから頭に誰かの顔が浮かんだなら、その人はきっとあなたと同じ軸じゃない。あなたが投げたがりなら受けるのがうまい人だろうし、あなたが勢い任せなら、どこかで冷静に拾ってくれる人のはず。自分が前に出られるのは、後ろで誰かが受け止めてくれているからなんですよね。

自分がどの軸でできているのかがわかると、自分に足りない部分を持っている相手の顔も、わりとはっきり見えてきます。気になったら診断で自分の4軸を確かめて、あの転がる相手のタイプも想像してみてください。なるほどここが噛み合っていたのか、と腑に落ちる瞬間があるかもしれませんよ。

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