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職場の雑談が苦手な人へ、タイプ別処方箋

昼休み、給湯室の前で同僚とばったり会って、電子レンジが温め終わるまでの90秒。あの沈黙を埋める何かを探して、結局「今日寒いですね」しか出てこなかった——という経験、ありませんか。

正直に言うと、僕もこれがかなり苦手です。友達とのドライブなら何時間でもしゃべれるのに、職場のエレベーターで上司と二人きりになった瞬間、頭の中が真っ白になる。お笑いが好きで、笑い合うのも好きなはずなのに、なんで職場の雑談だけこんなに難しいんだろう、とずっと思っていました。

ひとつ言えるのは、雑談が苦手なことと「面白くない」ことは、まったく別物だということ。むしろ面白い人ほど、職場という場のルールが自分の得意な笑いと噛み合わなくて苦戦していたりします。今日はそのズレを、お笑いタイプの傾向から少しほぐしてみます。

厳選派は、話数で勝負しなくていい

雑談が苦手な人の多くが、無意識に「もっとたくさん話さなきゃ」と思っています。沈黙が怖くて、無理に話題を継ぎ足して、終わったあとにどっと疲れる。

でも、ここぞの一発に絞るタイプ——たとえばワンショット狙撃手やスナイパー毒舌家のような厳選派(S系)の人にとって、これは一番きつい戦い方なんですよね。数で攻めるのは元々の持ち味じゃないので、話せば話すほど自分のいいところが薄まっていく。

僕がおすすめしたいのは、話の量を増やすんじゃなくて、相槌の質を上げること。相手が話しているときの「それ、わかります」のタイミングが絶妙だったり、ひとことのリアクションが的を射ていたりするだけで、存在感はちゃんと出ます。10個しゃべって平均点を取るより、1個の反応で「この人ちゃんと聞いてくれてる」と思わせるほうが、厳選派には向いている。沈黙が空いても、無理に埋めなくていいんです。

弾を撃つ的が、まだ無いだけ

言葉選びや間で笑わせる、技巧派のテクニック系(C系)。インテリ道化師やカウンター切り返し師、ミステリアス賢者あたりの人が、初対面や入社直後の雑談で本領を発揮できなくても、それは当たり前なんです。

考えてみると、この手の面白さは共通の前提があってこそ効きます。相手の口ぐせ、部署のあるあるネタ、過去のやりとり。そういう積み重ねが土台になって、はじめて絶妙な切り返しや、ひねりの効いた一言が刺さる。文脈ゼロの状態で技巧を出して空振りするのは、技術が低いからじゃない。単に、弾を撃つ的がまだ無いだけなんですよね。

だから入ったばかりの職場で雑談が弾まなくても、焦らないでほしい。共通の話題が貯まる数ヶ月後に、あなたの真価は静かに発動します。それまでは観察に徹していい時期だと思って、ゆっくり構えておくくらいでちょうどいい。

全開が常態だと、上げ幅が残らない

ここまでは「無理しなくていい」という話でした。でも、逆向きのアドバイスが要るタイプもいます。勢いとテンションで押すパワー系(P系)、とにかく数を出す手数派(V系)の人たち。フルスロットル暴れん坊やドタバタムードメーカーのような人ですね。

このタイプは雑談「が苦手」というより、職場でやりすぎて空回りしがちだったりします。友達相手なら最高に楽しいテンションが、月曜の朝礼前のオフィスでは少し浮いてしまう。本人は場を盛り上げているつもりなのに、周りが微妙に引いている——心当たり、ありませんか。

抑えどころは出力をいつもの3割に絞ること。フルパワーの面白さを温存して、職場ではあえて静かめのギアで回す。そのほうが、ここぞの場面で出した一言が効くようになります。全開が常態だと、本当に盛り上げたい瞬間に上げ幅が残っていないので。

雑談は、ウケなくても減点されない

最後にひとつ、全タイプに共通する視点を。職場の雑談って、ウケなくても減点されない場なんですよね。

舞台みたいに笑いを取らなきゃいけないわけでも、面白さで評価されるわけでもない。「天気ですね」で終わっても、誰もあなたを採点していません。僕らはつい、雑談を「面白さのテスト」だと思って身構えてしまうけれど、本当はただ、お互いが敵じゃないと確認し合うだけの、ゆるい儀式みたいなものです。

そう思えると、エレベーターの90秒もちょっと楽になる。無理に面白いことを言おうとしなくていい。自分のタイプの持ち味が出る場面まで、肩の力を抜いて待っていればいいんです。

ちなみに僕の診断結果はオールラウンド司令塔(TACV)で、全体を見回すのは得意なくせに、自分から雑談の口火を切るのは未だに苦手だったりします。給湯室の前で言葉に詰まったら、それはあなたの欠点じゃなくて、ただ場面が来ていないだけ。そう思って、次の90秒を待ってみてください。